板金の工賃はなぜ高いのですか?何にお金がかかっていますか?

板金の工賃は、部品代ではなく「人が手を動かした時間」に対する費用です。へこんだ面を元の形に戻す作業、車ごとに色をつくる調色、塗装と乾燥の管理に時間がかかるため、金額が大きく見えます。
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板金の工賃には、何が含まれているのですか?
工賃に含まれているのは、人が手を動かした時間です。部品代や塗料などの材料費は、工賃とは別の欄に書かれます。
工賃は、部品代とは別に、人が手を動かした時間に対してかかる費用です。同じ大きさのへこみでも、できた場所、板の状態、色の種類によって必要な時間が変わるため、金額は実車を拝見して算出します。どれも機械のボタン一つで終わるものではなく、人の目と手が必要な作業です。
見積書を見て「部品は安いのに高い」と感じられるのは、金額の大部分がこの時間に対するものだからです。逆にいえば、時間がどれだけかかる作業なのかが分かれば、金額の理由も見えてきます。
なぜ手作業にそれほど時間がかかるのですか?
車の面は、まっすぐに見えて実はゆるやかに曲がっているためです。人の目は、光の映り込みのゆがみで、わずかな面の狂いを見つけます。数字の上ではごくわずかな差でも、外に出て光が当たった瞬間に分かってしまいます。
そのため、押して戻して終わりにはできず、少しずつ確認しながら面をつくっていきます。裏側に手が入らない場所では、表から引き出す方法をとることもあり、そのぶん手数が増えます。
さらに、キズの位置がパネルの端や折れ目にかかっていると、形を戻す難しさが一段上がります。同じ大きさのへこみでも、場所によって時間が変わるのはこのためです。
塗装の費用が高くなりやすいのは、どうしてですか?
塗装は、色をつくるところからはじまるうえに、やり直しがききにくい作業だからです。
車の色には色番号がありますが、同じ番号でも、生産時期や年数による退色で1台ごとに見え方が違います。そのため、その車に合わせて色をつくる調色という作業が必要になります。ここは配合表どおりに混ぜれば終わりではなく、実際に試し塗りをして、乾いた状態と光の下での見え方を確認します。
塗る作業そのものも、ホコリが一粒入れば仕上がりに残ります。当社は塗装ブースを2基持ち、輸入車用にサイマ式、国産車用にクリタ工業のブースを使い分けています。設備を分けているのは、環境を安定させ、やり直しの必要が出にくい状態で塗るためです。
塗ったあとの乾燥や硬化を待つ時間も必要で、この待ち時間は短縮できません。ドア1枚の板金塗装で4〜7日いただいているのは、こうした時間が積み重なるためです。
| 費用のかたまり | 何に時間がかかるか | 短くしやすいか |
|---|---|---|
| 面をつくる手作業 | わずかな面の狂いを光で確認しながら戻す | 短くしにくい |
| 調色 | 1台ごとに色をつくり、試し塗りで確認する | 短くしにくい |
| 塗装と乾燥・硬化 | 環境を整えて塗り、乾くまで待つ | 待ち時間は短縮できない |
| 脱着と組み付けの調整 | 外した部品のすき間や建て付けを合わせる | 損傷の範囲によって変わる |
| 確認と手直し | 光の下で仕上がりを見る | 仕上がり次第 |
工賃の中身を、費用のかたまりで見ると
見積書の工賃は、どうやって計算されているのですか?
作業ごとの標準的な作業時間に、工場の1時間あたりの金額を掛けて計算します。思いつきで金額を置いているわけではありません。
標準的な作業時間は、車種や作業内容ごとに整理された資料をもとにしています。そのうえで、実車の状態によって増減を判断します。同じ「ドア1枚」でも、へこみの深さや位置が違えば時間が変わるためです。
保険を使う修理では、この内容を保険会社のご担当者にご説明し、確認していただいたうえで金額が決まります。当社が行うのは、修理の内容と費用についての技術的なご説明です。お支払いの範囲そのものはご契約の内容によって決まりますので、ご加入の保険会社にご確認ください。
なお、当社の1時間あたりの単価表は公開していません。同じ作業名でも実車の状態で時間が変わるため、単価だけをお伝えしても金額の目安にならないからです。
設備や資格にかかる費用も、修理代に入っているのですか?
入っています。板金塗装は、道具さえあればできる仕事ではなく、設備を持ち、維持し続ける必要があるためです。
当社には塗装ブースが2基、骨格のゆがみを測って戻すフレーム修正機があります。また、自動車特定整備事業の認証工場(関東運輸局・認証番号 第2-5680号)として、電子制御装置整備を含む認証を受けています(自動運行装置は対象外です)。
こうした設備や認証は、購入して終わりではなく、点検・更新・測定機器の校正といった維持費がかかり続けます。工賃には、その車1台の作業時間だけでなく、その作業を安定して行える状態を保つ費用が含まれています。
工賃を抑える方法はありますか?
あります。ただし、値引きではなく「何をどこまで直すか」を決めることで変わります。
たとえば、部品を新品の純正部品からリサイクル部品に変える、今回は直す範囲を絞る、気になっている箇所をまとめて1回の入庫で行う、といった方法があります。まとめて行うと、外して戻す作業や塗装の準備が1回で済むぶん、別々にお願いするより時間が減ることがあります。
一方で、下げられないものもあります。乾燥や硬化を待つ時間、調色の手間などがそれにあたります。ここを削ると仕上がりに出てしまうため、当社では削っていません。
| ご相談の内容 | 当社の対応 |
|---|---|
| 部品の種類を変えたい | 純正・リサイクル・社外の違いをご説明し、ご希望に応じて計算し直します |
| 今回は直す範囲を絞りたい | 優先順位をご相談のうえ、範囲を分けたお見積りをお出しします |
| 何か所かまとめて直したい | 1回の入庫にまとめられるかを確認し、内容をご説明します |
| 他社の金額に合わせてほしい | 金額を合わせることはしていません。内容の違いをご説明します |
| 乾燥時間を縮めてほしい | できません。仕上がりに直接影響するためです |
費用のご相談で、できることとできないこと
この記事の写真は、実際にお預かりしたアルファードです
当社でお預かりしたアルファードです。ここでは、上のご説明を裏づける例としてご覧ください。1台ごとの修理の中身は、修理事例のページでご覧いただけます。


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よくあるご質問
板金の工賃は1時間あたりいくらですか?
単価表は公開していません。同じ作業名でも、へこみの深さや位置によって必要な時間が変わるため、単価だけでは金額の目安にならないからです。実車を拝見したうえで、作業ごとの内訳をご説明します。
部品代と工賃では、どちらが大きくなりますか?
直し方によって入れ替わります。交換が中心の修理は部品代の割合が大きく、板金で直す修理は工賃の割合が大きくなります。見積書の合計が近くても、中身は別物です。
保険を使えば工賃は安くなりますか?
工賃の考え方は変わりません。修理の内容と費用を保険会社のご担当者にご説明し、確認していただく手続きが加わるだけです。お支払いの範囲はご契約の内容によって決まりますので、ご加入の保険会社にご確認ください。
見積書に材料費が別に書いてあるのはなぜですか?
塗料・研磨材・接着剤などの材料は、使う量が作業内容によって変わるためです。工賃(時間)と材料費を分けて書くことで、何にいくらかかっているかが分かるようにしています。